日本音楽療法学会
第8号 日本音楽療法学会ニュース
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第8号に掲載された「国家資格化の現状について」(村井靖児氏)記事に対する公開討論の提案
青拓美 生野里花 市来真彦 大澤和子 大澤直 岡崎香奈 岸本寿男 北本福美
齋藤考 由斉藤雅 阪上正巳 塩谷百合子 菅原三知代 竹内貞一 智田邦徳 西林淑子
西沼啓次 林庸二 平田紀子 堀越清 美原盤 若尾裕

〈はじめに〉
本ニュース第8号において、「国家資格推進委員会」を代 表し、村井靖児委員長から「国家資格化の現状について」と する記事が掲載されました。その中で「一部の評議員(反対 派)」と称された会員の立場から拝読すると、事実と異なる 部分がありましたので、ここに私たちの立場から訂正と反論 をのべさせていただき、さらに学会員の皆様の力を集約した 形での学会発展のため、公開討論を提案したいと思います。 ひとつの事実に対してもさまざまな見解や異なる意見が存 在することはごく自然なことであり、私たちは、そこから健 全な議論が育つことを信じるものですので、前号の村井委員 長の掲載記事を学会の中の開かれた討議の出発点とさせてい ただきたいと考えます。その意味で、今回の私たちの投稿に 対し、時間的制約や学会ニュースそのものの性格についての議論があったにもかかわらず、広報委員会が門戸を開いてく ださったことに感謝致します。
〈私たち「慎重派」の立場について〉
まずはじめに、私たちは「国家資格に対する反対派」ではないことを会員の皆様にご理解いただきたいと思います。私たちは、これまで進められてきたような急進的な方法で国家資格化を推進することを危惧し、十分な議論を重ねて国家資格化を推進していくことを提案し続けてきたものです。そしてそのためには、「音楽療法の専門性の確立」と「真の専門職としてのあり方」を学会全体で熟考することが必須と考えています。今回の国家資格化を推進していた村井常任理事を始めとする方々(以下推進派) と私たち慎重派との間の議論は、平成15年8月17日の臨時評議員会に端を発しています。急な日程 で召集されたこの評議員会においてはじめて、会員や評議員の意見が反映されないまま国家資格が推進されていたことが明らかになり、疑問を感じた評議員が異議を唱えました。それ以来、私たちは推進派から「国家資格に対する反対派」と見なされ、評議員会や理事会の席上、そして前号の記事では会員の皆様に対してまで、あたかも「意図的に秩序を乱す役員」と印象付けられるような表現がなされていることをとても残念に思います。第二に、私たちは、上記のような考えをもって、学会内での十分な論議を提案したい学会員の自発的な集まりであり、共通する利害や職業的・政治的立場はありません。よって、ひとりの統率するリーダーといったものも存在しません。ですから、私たちの考えに関心をもって下さったり、疑問・意見という形で議論に参加して下さる方に対して、いつでも開かれていることを申し添えます。
〈「推進派」と「慎重派」が実際に行ったことについて〉
「慎重派が行なったこと」について、村井委員は前号記事の中で、「国家資格化の阻止運動のために、議員に直接陳情するという妨害工作を仕組んだ」という表現をされましたが、これは誤解であり、事実ではありません。私たちが音楽療法推進議員連盟(以下議連) の議員と話したのは、議連の側からの求めによるものであって、「国家資格化推進には、音楽療法関係団体が資格化に向けて一枚岩であること」を前提条件としていた議連が、学会内にも多様な意見が存在する現状を認識するに至り、「推進派だけでなく『より多くの音楽療法学会関係者からの意見を聴取したい』」という要望に対して行なわれたものでした。その要望は、当然のことながら私たちではなく議連と公式の関係を持っていた推進派に伝えられ、推進派が慎重派の中から代表者3名を人選・指名して同行し、面談・聴聞が行われました。その場においてこの3名が慎重派としての意見を申し上げたにすぎません。その聴聞会後、議連は「国家資格化については、静観する」と推進委員会に連絡してこられ、推進派の方々はこれに「慎重派の妨害工作のため」という理由付けをして私たちへの批判をされています。しかし、私たちはこのような状況に至った原因は、そもそも推進派がそれまで行なってきた推進の方法であったと考えます。すでに述べたように、議連は「音楽療法関係者の間で十分な賛同が得られていること」を条件に協力してくださっていたのですが、実際には推進派は当時、一部の役員の考えだけによって、万全とは到底言えない形の国家資格化を推進してきていました。その間、学会外部とのやりとりはもとより、学会内部でも会員の皆様や、会員の皆様から直接選挙で選出された評議員会などの場所においてでさえ、詳細な情報を全く審議しないままだったのです。このことには、臨床音楽療法協会とバイオ・ミュージック学会の時代から「学会統合」への移行期の混乱なども関係していたと察せられますが、この重要な案件が「評議員会などの公の 場において十分な意見交換をする過程を経ていなかった」ことは、学会内に対してはもちろん、議連など学会外に対して も、大きな責任を負うべきことではないでしょうか。
〈学会全体の意見の集約の場:評議員会について〉
最初にも述べましたように、多くの会員や役員がいれば異なる意見があるのは当然ですから、しかるべき会議で「十分な討議の結果、学会としての統一意見が決められるべきだ」 と私たちは考えます。そういった意味で、会員の直接選挙で選ばれた評議員会に情報や審議が公開されなかった過去には 大きな問題があったと言わざるを得ません。そしてようやく評議員会にこの件が知らされたのは、ほとんどのことが議連 と進んでしまった後であり、「今決めなければもうチャンス はない」というような情報だけで賛同を迫られてきたのが実 情です。つまり実際は、議連の言われる「音楽療法関係団体として一枚岩」という状態からは程遠く、学会内で今ようやく議論が始まったばかり、というのが現状ではないでしょうか。そもそも推進派の取ってきた一連の行動は、「どのような 内容の“音楽療法士”資格なのか」という一番重要な部分に 対して学会内部で議論を尽くすことを怠り、「国家資格の法 制化」という結果のみを追い求めてきたと私たちは考えてい ます。その例として、推進派が平成15年に議連から提示され た「音楽保健福祉士」というものを学会に持ち帰り、大きな 論議になったことをご記憶の方も多いと思います。
〈会員の皆様にわかりやすい公開討論の提案〉
こういった一連の流れの中で私たちは、現在の国家資格推 進担当の役員がなぜこのように重要な議論を避けて事を進め るのか、その真意を測りかねています。繰り返しになります が、私たちは「国家資格化そのものに反対をしているわけで はなく、十分な討議を行って進めることを提案」しています。 そこでは、会員の皆様とわかりやすい情報を共有し、学会の 方向性を考える場がもっと十分にあってほしいと思います。 そこで手始めに、推進派に代表される意見と慎重派に代表 される意見を会員全体で互いに学び、考えるための公開討論 を提案いたします。具体的な方法としては、「会員の皆様が 最も多くお集りいただける名古屋での学術大会の会期中にし かるべき場所を設けて公開討論会を行なうこと、そしてその発言集とまとめの文書を学会からの臨時ニュースとして全会員の皆様に明らかにすること」を提案いたします。 私たちが提案する討論の内容は、国家資格化と学会の民主化に関する以下の5項目です。
1) 国家資格化のための重要な段取りとして評議員会でもた びたび話題となってきた「音楽療法の対象となる患者・利用者団体」及び「関連他職種職能団体」との交流の在り方 について
2) 「学会認定音楽療法士」と「日本私立短期大学協会による音楽療法士養成協議会認定第1種・2種認定音楽療法士」という2つの全国規模の基準ができた経緯について、さらに「日本私立短期大学協会」との関係のこれからの方針について
3) 音楽療法士の職業的・経済的状況の将来的見通しと改善案について
4) 「音楽療法士の専門性」の内容や高め方について
5) 学会の民主的な運営への具体的提案について
以上5項目について、双方の立場よりプレゼンテーションを行ない、さらに会員の皆様を交えて討議することを提案致します。日本の音楽療法の地盤を固め、この職業をさらに発展させるためにも、全会員への開かれた情報開示と学会内における活発な議論の充実を願ってやみません。どうぞよろしくご高配のほど、お願い申し上げます。

 
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