日本音楽療法学会
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世界大会印象記
The 11th World Congress Of Music Therapy
(第11回世界音楽療法大会) 印象記
評議員 宍戸 幽香里
 第11回世界音楽療法大会が、オーストラリアのブリスベンにおいて7月19日から23日まで開催された。今回の会場となったコンベンションセンターは街の中心部から徒歩約15分に位置し、大きな穏やかな流れのブリスベン川を渡ってすぐのところであった。この周辺はクイーンズランドの芸術の殿堂といわれる地区で、博物館や美術館、パフォーミング・アーツ・コンプレックス、図書館などが並んでおり、しかも入場料が無料がゆえにプログラムの合間をぬっては度々近郊の美術館や博物館にも足を運ぶ楽しみもあった。
 今回の参加国数は25カ国、350人弱との報告であった。今回の大会テーマは「子守唄から葬送歌まで」であり、会場は広く、それに加えオーストラリア人気質もあるのか何もかもがのんびりゆったりの日々だった。基調講演はそのテーマに添って、オーストラリアのルース・ブライト他2名の音楽療法士らによって行われ、音楽療法が全ての人間の人生に有効的に関わることが出来るという真実を再確認させられたものであった。オープンセレモニーで演奏されたアボリジニーの女性の歌声は、これぞ魂に響く声かと思われるような感動を覚えるもので、数ヶ月たった今もなおその鳥肌が立つような声の響きを思い出す。大会2日目からは研究発表やワークショップ等がはじまり、口頭発表、ポスター発表の会場はどこも熱気があふれていた。180を超える研究発表の中で発表数が最も多かったのは地元、次にアメリカ、イギリスであった。この3国による研究発表が全体の約6割を占めていたことは、オーストラリアが地元の開催国であったことを考慮しても、アメリカとイギリスが現在もなお世界音楽療法の中心的役割を担っていると同時に、今後の世界の方向性をも示唆するものと思った。また基調講演のみならず研究発表では世界の中心的存在である音楽療法士らがきちんと自らの発表を行っていたことは、世界大会の醍醐味であると同時に、経験の上にあぐらをかくことなく実践と研究の両輪を積み重ねる真摯な態度はわが身を振り返るには十分であった。ワークショップではカンザス大学やフロリダ大学院生が企画したものやブラジルのフォークソングとダンス、パーカッションの即興などがあったが、ワークショップによっては「講師の希望により20名で締切」の張り紙が突然掲示されるものもあった。それならば翌日のワークショップには是非と、朝食抜きで7時半に会場入りしてもなお参加できなかった人達が憔悴してその場に座り込む姿は気の毒を絵に描いたようなものだった。私は?そこは年の功、今だからこそ言えることだがワークショップが始まる寸前に速やかに会場に入り、2回も参加を楽しんだ。とくにブラジルのフォークソングとダンスは参加人数が最も多く、会場全体がヒートアップして肩を組み合って飛んでは跳ね、日頃のストレス発散の場と化した。私自身英語からの解放感を味わった瞬間であり、この時ばかりは人種や言葉の壁を越えて参加者の気持ちが一体化した時間と感じられた。休憩時間には、アメリカやイタリア、オーストラリアの 人から「日本の音楽療法を知りたい」と言われ返答に困惑していたところに、世界音楽療法大会の役員(臨床実践委員長)に初めて東南アジアからの代表として佐治順子氏が選出されたとのニュースが飛び込んだ。佐治氏が選出されたことで日本を含め東南アジアの音楽療法を世界に発信することが世界の音楽療法士らから期待されていることは容易に理解できる。その他今回のポスター発表に、日本人の留学経験者を含め多くの若い音楽療法士らが健闘していたことは頼もしい限りである。「実践と研究をこれからも頑張ってね」と励ますと「次の世界大会に先生も発表して下さい」と藪蛇だった。「英語が出来ること=優れた音楽療法士ではないのですね」と励ましてくれたが、色々な発表を聞いて優れた実践家は日本にも沢山居るのに、それを世界に向けてアピールする努力をしないために、日本の現状が世界に伝わらないのではないかと危惧した。2008年の開催地、ブェノスアイレスへ向けてGO!
(印象記執筆に当たり、二俣泉、米倉裕子両氏に協力頂いた)
カンガルーを撫でて癒される… ポスター発表、質問を受け、アドヴァイスをもらってラッキーでした。
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