日本音楽療法学会
第17号 日本音楽療法学会ニュース
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学会のこの2年間を振り返って
会員の皆様、学会による音楽療法の普及と発展への取り組みは、ゆっくりではありますが着実に進展しています。本稿では、この2年間の学会の動きを確認するとともに、私自身が体験したことも交えながら、これからの音楽療法についての考えを述べてみたいと思います。

一人ひとりの音楽療法士が、音楽療法サービスを個々の対象者に運ぶ「車」であるとすれば、音楽療法士と対象者をつなぐ道路にあたるのが「国家資格」でしょう。音楽療法を必要とする全ての人たちに等しくそのサービスを提供するためには、国家資格という道路整備が絶対に必要です。一昨年の札幌の総会で、福祉職としての国家資格化に向けて進んでいくことが正式に承認され、国家資格推進委員会を中心に、その実現に向けての努力が続けられております。

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常任理事
加藤美知子

各委員会も、地道にその活動を積み重ねつつあります。その成果の一つが音楽療法士のための業務保険であり、あるいは以前よりもずっと分かりやすくなった資格認定と資格更新の規則申請書(マニュアル) です。また去る3月には初めてのアジア音楽療法シンポジウムが、東京で開催されました。

新しい委員会として、スーパービジョン検討特別委員会と新認定制度検討特別委員会が設置されました(それぞれ暫定委員会、本文記事参照)。前者は、わが国ではまだ一般的でないスーパービジョンのあり方について検討していくものです。臨床家としての成長のためのスーパービジョンについての議論が深められていくことを期待しています。

さて、資格認定に関しては、暫定措置終了の決定に基づいて、今年10月に現行制度での最後の書類審査が行われます。この書類審査の段階で不合格となった人は、新認定制度を目指すこととなりますが、今年の面接で不合格になった人は、来年再び書類審査を経て、面接をパスすれば認定資格を取得することができます。もちろん、学会認定の音楽療法士(補)受験資格認定校(以下認定校) の音楽療法コースを卒業した人、海外で専門教育を受けた人に対しては、これまで通りの資格審査が続けられていきます。

現在検討中であることをすでにお知らせした新認定制度は、資格をまだ取得されていない会員の方にとって一番の関心事だと思われます。新しい制度がどのようなものになるべきかと議論すべき点は非常に多く、新認定制度検討特別委員会では、色々なお立場の方からのご意見を取り入れながらの熱い会議が重ねられています。会員の皆様からの声も直接お聞きするべきだということになり、新認定制度について会員アンケートの実施と四国大会での討論会の開催が、3月の理事会で決定されました。

私事ですが、ここ3年にわたり、岐阜県音楽療法研究所で「事例の書き方」講座を担当しました。岐阜は全国に先駆けて県が音楽療法の事業と取り組んだ地で、同研究所の積極的な活動で、県内の各地域に音楽療法が浸透しつつあります。今春には職能団体の「ぎふ音楽療法協会」(NPO 法人)が発足しました。その中核を担っているのは、中年から上の年代の女性達です。講座や彼女達の発表を通して、地域で地味ながら粘り強く研修と実践を続け、着実に力をつけてきている様子を見ると、その土地に固有の言葉や文化、生活習慣を生かした実践が、岐阜県以外の地域でも根付くようになっていけばどんなに素晴らしいことかと思います。各支部を中心として、音楽療法の基本を見据えながら、身近な対象者のニーズにそった実践を深めるための小さなグループがたくさん作られていくことが望まれます。学会も、そうした地道な営みを励ましていくことに取り組む必要があるのではないでしょうか。

本稿の冒頭で、音楽療法士を「車」に喩えました。高度の専門的な教育を受けた高性能スポーツカーに匹敵する音楽療法士も必要ですが、一方で隣の町や村に日々のサービスを届ける自転車や軽ワゴンのような身近な音楽療法士もまた不可欠です。最先端医療に取り組むエリート医師も、地域医療に邁進する家庭医も、ともに必要であるのと同様です。

音楽療法の仕事に関わりたいと望む人たちが、着実に知識と力をつけた上で資格を取得し、よりよい臨床が行えるような、系統だった研修ができるシステムの必要性を強く感じています。そのような制度を整えるための車輪が動き出しました。もちろん国家資格の実現を目指しての運動も続けていきます。

必要とする全ての人たちに、一刻も早く、音楽療法がくまなく届けられるような社会になることを目指して、一緒に進んでまいりましょう。それを実現するためのアイデアを、皆様どうぞお寄せください。
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