日本音楽療法学会
第20号 日本音楽療法学会ニュース
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第10回学術大会を終えて
2010年9月24日、25日、26日の三日にわたり、神戸国際会議場とポートピアホテルにおいて第10回日本音楽療法学会学術大会が開催されました。全国から会員、一般の方および学生を含め3日間で延べ約8,100名の参加者があり、過去最大規模の大会となりました。

今回の学術大会には、ヨーロッパから4人のパネラーを迎えて、「ヨーロッパの音楽療法に学ぶもの」と題して国際シンポジウムを行いました。また、井戸敏三兵庫県知事、「音楽療法を支援する会」の鳩山幸両氏をゲストに、当学会から日野原重明理事長、湯川れい子理事と私とで特別座談会を開きました。また、前記のシンポジウムとともに基調講演をお願いした、国立ハンブルグ音楽演劇大学音楽療法学部学部長であるデッカー・フォイクト教授が、音楽療法の今後の方向を示唆する講演を行いました。国際シンポジウムでは、異なった言語・文化を背景としても音楽療法士のアイデンティティーを明確に保つこと、音楽療法士の教育、訓練の枠組みのレベルに関しての国際的な合意が、公的な資格を確立するための重要なポイントになることが指摘されました。

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大会長
益子務

講習会は初日の24日に10時30分から7つのコースに分けた講義を18時10分まで行い、28の講座で研修をしました。ヨーロッパからの講師もそれぞれの分野の講義を行い、貴重な講習会となりました。

25日は「音楽」で縦に縫い合わされた一日でもありました。開会宣言の前に、松元愛香さんによる、イザイ作曲の無伴奏ヴァイオリン・ソナタの素晴らしい演奏があり、当学会の音楽の質の高さが印象付けられました。

デッカー=フォイクト教授による基調講演は、現在からみた近未来の音楽療法と社会の姿を哲学的に考え、国際シンポジウムでは23のヨーロッパの国をまとめているヨーロッパ音楽療法連盟会長のドゥ・バッカー教授の、異なった文化と言語の上に成り立つ音楽療法士の教育とアイデンティティー確立に関する報告を学び、大滝昌之氏は福祉国家と知られるスウェーデンの音楽療法の現状を、リプスキー教授からはチェコ共和国における国家資格化の現状の報告を受けて、我が国の国家資格化における問題点を各シンポジストが明確化したことが有意義であったと思います。

今回の国際シンポジウムでは通訳の専門家への委嘱だけではなく、実行委員を中心とした近畿地区の会員が通信、翻訳、通訳、学会当日の案内などで大きな力を発揮しました。

特別座談会では震災後の復興と心のケアーを経験した兵庫県の取り組みを通して、人生の危機的場面における「音楽」の重要性を再認識しました。その結果生まれた「地方自治体としての音楽療法士養成」に取り組む兵庫県の現状や、高齢化社会となる国家としての音楽療法の必要性を分析し、今後の指針とすることができました。

学術大会のバックボーンとなる研究発表は25日、26日の両日、課題研究の発表では60分枠、30分枠がそれぞれ設けられ研究内容をより詳細に報告できるだけではなく、質問時間も十分討議出来るよう配慮しました。自由研究の口頭発表は20分枠で行われました。また発表時間を指定したポスター発表でも多くの異なった研究対象の発表が行われました。

今回の学術大会の特色として、国際的な交流、特にヨーロッパの音楽療法関係者との情報交換のみならず、療法士の根幹的な存在意義に関する討議がおこなわれ、日本からの情報発信も出来たことなどでしょう。また、研究発表における学術的レベルの向上、学術大会への参加者の増加、開催地の自治体の支援と一般市民の積極的な学術大会への参加は画期的な企画であったと考えます。

交流会においては学会員で編成された「ファンファーレ隊」が雰囲気を盛り上げました。大会長個人としては、人間の尊厳と心の自由を扱った「地下鉄道」が上演できたことは大変幸せでありました。

最後になりましたが、今大会の開催に際しまして近畿支部 の会員の方を中心に多くの方々にご支援をいただきましたこ とに厚くお礼を申し上げますとともに、次回の富山大会とその前に韓国での世界大会で、多くの皆様にお会いできることを期待しています。

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