日本音楽療法学会
第23号 日本音楽療法学会ニュース
第23号INDEXへ戻る
国家資格は誰のため
写真
常任理事
藤本禮子

音楽療法士の国家資格は誰のために必要なのでしょうか?何故必要なのでしょうか?

音楽療法が職業として成立するためでしょうか?

音楽療法に全く関係のない知人の言葉です。「国家資格は音楽療法を受けたいと思っている人たちを守るために必要なのでしょう?」「音楽療法を受けたいと思っている人が音楽療法士と音楽療法を信頼して受けることができるようにするためでしょう?」

音楽療法が職業として成立することは大切です。音楽療法が職業として成立していないことの困難・デメリットは日々の臨床現場で実感しています。しかし音楽療法を受けたいと思っている人たちが、音楽療法士とその音楽療法を信頼して受けることが出来ることを保証するもの、つまり、音楽療法士と音楽療法の質が一定レベル以上であることを保証するものとしての国家資格が必要なのです。音楽療法士と音楽療法の質が保証されてこそ音楽療法が職業として社会に認められるのです。簡単に図にしてみました。

私は学会の16の常設委員会の中で、音楽療法士認定に関わる委員会に長年携わってまいりました。そこで文頭の「音楽療法を受けたいと思っている人たちが、音楽療法士と音楽療法を信頼して受けることが出来ることを保証する・音楽療法士と音楽療法の質を一定レベル以上にする」という目的に向かって学会が取り組んできたことの1つとして、音楽療法士認定方法の一本化についてお話ししたいと思います。

学会成立時から学会事業の1つとして取り組んでいる音楽療法士の国家資格化のためには「音楽療法士と音楽療法の質が一定レベル以上であること」が必要で、そのような音楽療法士の養成が急務でした。音楽療法士の認定は1995年の全日本音楽療法連盟設立当初から検討され、1996年に音楽療法士養成のための「カリキュラムガイドライン96」が作成され、2001年、2011年の改正を経て今日の「カリキュラムガイドライン11」に至っています。学会のカリキュラムガイドラインに従ってカリキュラムが準備された大学・専門学校を学会認定音楽療法士(補) 受験資格校と認め、受験資格校で指定の学業を修めた学生が学会認定音楽療法士(補) 試験と面接試験に合格して学会認定音楽療法士資格を取得するという方法が開始されました。

一方各地にはそれぞれの場で地道に音楽による臨床経験を重ねた会員が多くいることから、受験資格校が日本各地にできるまでの暫定措置として、一般認定(学会が指定した分野の講習などによる知識や臨床経験などをポイント化し、1,000ポイント取得と面接合格による認定) が2010年3月まで続けられました。その間懸念された問題は、受験資格校での音楽療法教育と一般申請のために申請者各自が取得する音楽療法に関する知識や技術の内容の差です。

暫定期間は2010年3月に終了となりましたが、終了後も受験資格校の数の不十分さなどが指摘され、主として他職種に在職中等のため受験資格校での履修が困難な会員を対象として、新たな学会認定制度を開始することになりました。その制度での大きな命題は、「学会認定音楽療法士養成にダブルスタンダードを作らない」つまり認定制度の1本化でした。

学会認定制度において音楽療法の系統だった知識と実践力をつけるために受験資格校で行われているカリキュラムに準じた科目を整えた必修講習会は直ぐに企画されました。しかしダブルスタンダードを作らないという大きな命題の解決には大変苦悩しましたが、その命題は、学会認定音楽療法士の資格取得を希望する全ての人が学会認定音楽療法士(補) の試験を受験するという方法で解決されました。ようやく認定制度の流れの一本化に行きついたのです。

認定の流れが定まり、新しい認定規則書が作成され、2010年4月に新しい認定制度が開始されました。現在260名の会員が認定音楽療法士(補) 試験を目指して学んでいます。彼らの最初のゴールは認定音楽療法士(補) 試験合格です。そして二つ目のゴールは面接試験の合格です。

新しい認定制度により、面接試験を受けることのできる人は、認定音楽療法士(補) 資格取得者(受験資格校卒業による(補) 取得者と学会新認定制度による(補) 資格取得者)、そして海外で音楽療法士資格を取得した人に整理されました。この方々の面接のための条件には少しずつ差がありますが、その差は文頭に掲げた「音楽療法士と音楽療法の質が一定レベル以上であることを保証する」ために必要な差です。

音楽療法士と音楽療法の質が一定レベル以上であることが保証されることが、音楽療法を受けたいと思っている人が音楽療法を信頼し安心して受けられることを保証することになります。そして学会認定音楽療法士の質が保証されていることを音楽療法を受ける人々、そして国が認めるものが国家資格です。

今後はこの質を更に高めること、そしてどこで誰から受けてもほぼ同じ効果が得られる、方法の整理を進めることが必要です。

郡司正樹委員長によるスーパービジョン検討特別委員会に加え、村林信行委員長による音楽療法の介護予防の効果に関する特別研究プロジェクトが動き出しました。

学術大会などでの研究発表・研究論文による知見の共有はもとより、同じ領域の音楽療法士が自分たちの臨床経験について忌憚なく語り合い、各領域での方法と結果を整理していくことが必要です。音楽療法を求める人々の期待にこたえ、その結果としての国家資格を期待し、音楽療法の智と技術を集約してゆきましょう。

▲このページのトップへ
  1/5
個人情報保護方針 (C) Copyright 2004 by Japanese Music Therapy Association. All rights reserved.
当サイトは日本音楽療法学会の公式サイトです。
学術大会、講習会など、日本音楽療法学会公認の情報をご提供しています。
当サイトは、日本音楽療法学会が、公認する情報をご提供するサイトです。
言い換えればこのサイト以外のいかなるサイトで、類似した情報が掲載されたとしても、日本音楽療法学会とは無関係です。
また、このサイトに掲載している記事および画像を無断転載することを禁じます。