日本音楽療法学会
第29号 日本音楽療法学会ニュース
第29号INDEXへ戻る
スーパービジョンのすすめ
写真
理事
スーパービジョン
検討特別委員会
委員長
郡司 正樹

音楽療法を取り巻く環境はずいぶん変わってきました。学会認定音楽療法士が全国各地で活躍され、さまざまな分野で知られるようになりました。特に最近は福祉や教育の現場で音楽療法のニーズが高まっています。他の専門職の人たちの中には、音楽療法を勉強している方もいらっしゃいます。最近は、医療・福祉系の大学や専門学校で音楽療法を授業に取り入れるところも増えていますので、近い将来は、音楽療法について知識をもった他職種の人が増えてくることが予想されます。こういった状況の下で将来、常勤という立場で他職種と肩を並べ仕事ができるよう「国家資格化」も含め、日々努力することに精進しなければならないと思います。

音楽療法は音楽を使った対人援助です。音楽療法士は「人を理解するための専門性」や「人を支援するための専門性」が必要です。支援に「音楽」を用いるわけですから、音楽の諸理論や機能の知識、音楽療法の理論や技法そして現場で応用できる技術を磨き上げることが必要です。とりわけ「音楽療法の中身」が最も重要です。申すまでもなく、この中身には「人間性」も含まれてきます。

2010年春、学会の資格認定委員会から更新規則検討委員会に以下の3点について検討課題が出されました。

  1. 資格認定申請や更新時のスーパービジョン報告内容について、さらに研鑽を積み、充実した内容になるよう会員に働きかける必要がある。
  2. 認定音楽療法士の資格を取得した後、研修、講習会に参加する人が少ない。また、スーパービジョンについての理解を深めてもらうためのさまざまな研修会を設ける必要がある。
  3. 新認定制度の受講者に対して課しているスーパービジョンを、だれがスーパーバイザーとして担うのか、スーパーバイザーの養成も含め早急に検討する必要がある。

上記の3点を更新規則検討委員会で話し合った結果、時間をかけて継続的に審議する必要があるという結論に達し、同年秋に理事会の承認を得て、資格更新委員会の諮問機関となる「スーパービジョン検討特別委員会」を時限付きで立ち上げました。この委員会は現在8名で構成されています。「社会から認められる音楽療法」、音楽療法士の「国家資格化」の実現は学会の最優先課題です。この2つの実現に向けた、臨床の場や研鑽の場づくりは必修条件であり、場づくりのひとつに、相互研修も視野に入れたスーパービジョンを位置付けています。

スーパービジョンの目的や意味、スーパーバイザー(指導者)の資質について、学会としてはこれまでかなりの曖昧さがあり、具体的なガイドラインを示すには至りませんでした。そこで検討委員会としては、スーパービジョンの研修会を定期的に開催し、会員向けのガイドライン(スーパービジョンの手引書)を作成すること、また近い将来はスーパーバイザーの養成も含め、スーパーバイザーの認定制度を具体化してゆくことを当面の課題としました。2010年の学術大会(神戸大会)におけるシンポジウムを皮切りに、毎年、研修・講習委員会の全面協力でスーパービジョンの研修会を開くことができ、各支部単位でも定期的にスーパービジョンの研修会を開いてくださり、徐々に充実した研修内容になってきています。

現在、学会は資格更新申請の実践報告に、スーパービジョンの報告も選択肢の一つとして入れ、一定の条件を満たすことでポイントが付与されますが、スーパービジョンの報告は更新申請者全体の1%にも満たない現状です。また新認定制度による必修講習会第三期より、スーパービジョンを3回以上受けることが義務付けられました。

スーパービジョンは実践に必要な知識やスキルを獲得できますし、専門家としても個人としても成長できます。自分自身の実践を客観的に見ることができるメリットもあります。スーパーバイザーは人を育てる責任はありますが、この経験は自分自身の成長の糧となります。過日、学会が実施したスーパービジョンに関するアンケート調査で、スーパービジョンを受けたい人はたくさんいらっしゃることがわかりました。なかなか機会に恵まれなかった理由の一つとして、スーパービジョンをどういった手続きを経て、誰に受ければよいのか、まったくわからなかった方が多かったようです。こういった悩みの解決に向け、委員会では「スーパービジョンの手引書」作成に現在取り組んでいます。この手引き書は、これからスーパービジョンを受ける初心者や資格取得5年未満で臨床経験が浅い人、また、スーパーバイザーとして指導的立場に立つ人など、どなたにでもお役に立つ内容をめざし、メンバーが執筆をすすめています。本来なら、昨年秋に完成の予定でしたが、諸般の事情で大幅に遅れ、皆様に大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。もう少しお待ちください。

▲このページのトップへ
  1/6
個人情報保護方針 (C) Copyright 2004 by Japanese Music Therapy Association. All rights reserved.
当サイトは日本音楽療法学会の公式サイトです。
学術大会、講習会など、日本音楽療法学会公認の情報をご提供しています。
当サイトは、日本音楽療法学会が、公認する情報をご提供するサイトです。
言い換えればこのサイト以外のいかなるサイトで、類似した情報が掲載されたとしても、日本音楽療法学会とは無関係です。
また、このサイトに掲載している記事および画像を無断転載することを禁じます。